メインスピーカーを開業以来、8年ぶりに入れ替えQSC E15にした話
ライブハウス上野Untitledでは創業以来、8年間エレクトロボイズ(EV)の
Electro-Voice ( エレクトロボイス ) / ELX115 パッシブスピーカー
というド定番の15インチスピーカーをメインで使用していました。
しかしながら、8年間も使用するとそれなりに、ダメージも出て来て、外装の網?の部分が劣化して来て、ネジの締まりが悪くなったせいか、一定数より低い低音をだすと、ビリビリと音がなってしまう現象がおき、何度ネジで締め直しても治らない症状になってしました。
これは、メインスピーカーそろそろ替え時だな
ってことで、最近(2021年9月)に新しいスピーカーを導入したのです。
その際、導入したのが、QSCというメーカーのE15という15インチのスピーカーになります。
低音を鳴らすといろんなものが振動するという記事を別に書いています!参考になればどうぞ!
入れ替えたのはQSE E15 というスピーカー
QSC E15の簡単なをサウンドハウスさんのHPより引用
サウンドハウスHPより
E15は、台形エンクロージャーにアルミニウム製のダイキャストフレーム、3.5インチ・ボイスコイルの15インチ・ウーハーを搭載した許容入力500Wを誇る2ウェイ・フルレンジ・スピーカーです。ハイパワーで迫力のある低域を持つフルレンジ・スピーカーが必要な時には、このスピーカーを選択してください。2.8インチ・コンプレッションドライバーとQSCの独自技術DMT (Directivity Matched Transition)デザインのウェーブガイドにより、水平75度の幅広いエリアをカバーし、臨場感溢れるサウンドを遠くまでスムーズに響かせます。
Eシリーズは、十分な許容入力と高い信頼性、高音質を誇るパッシブ・スピーカーです。塗装仕上げのバーチ材エンクロージャーに、ウーハーユニットを保護する頑丈なスピーカーグリルを装備し、優れた耐久性を実現。
QSC E15のスペック(代表的なところを抜粋)
■周波数特性:43 Hz - 20 kHz (-10dB)
サウンドハウスHP
■許容入力:1000W
■インピーダンス:8ohms
■サイズ:幅42.0x高さ71.6x奥行44.5cm
■重量:31 kg
■許容入力(連続/ピーク):500W/2000W
QSC E15をメインスピーカーに選んだ理由は?
QSCというスピーカーをメインで使っているライブハウスは正直日本ではあまり見かけないと思います。
このブログをみて、このスピーカーの名前を初めて聞いたという人も多いんではないでしょうか?
別記事で、ライブハウスがどんなメインスピーカーを使用しているか書いています!
都内100名規模ライブハウスのメインスピーカーを調べてみた
QSCというメーカーは、日本ではそれほど知名度はありません
日本で有名な定番スピーカーを作っているところといえば、YAMAHAとかJBLなんかがパッとイメージできますよね
海外(アメリカ)ではとても知名度の高いメーカーです。
QSCの歴史
1968年にパトリック・クイルターとバリー・アンドリュースによって楽器用アンプメーカーからスタートしたQSCは1998年にパワーアンプメーカーに転身。音質のさらなる向上を達成しつつ、スイッチング電源を採用した「パワーライト」シリーズは従来のパワーアンプ技術を払拭し、重量と容積を著しく削減することに成功しました。このマイルストーンは特に映画産業とプロオーディオ業界を中心に、同社をパワーアンプメーカーとしての地位を不動のものとしました。
音響特機株式会社
QSCはとくにパワー・アンプの分野で独占的な地位をアメリカで取っています。
サウンドハウスさんは、このQSCというメーカーの正規代理店になっており、日本でQSCのスピーカーを導入する場合は、サウンドハウスさんを経由する形になると思います。
なぜ定番スピーカーを使わずQSC E15に?
2020年に入る前まで、プライベートでよくアメリカに行くことがありました。
やはり、ライブハウス経営に携わっていると、海外の外現場やイベントなどで、スピーカーなどが設置されているのをみるとどのようなスピーカーがつかわれているかとても気になります。
ちなみに、日本だと9割エレクトロボイス(エレボイ)かヤマハを使っている現場が多いのはご存知の通りです。
海外の現場やイベントだと、やはり日本のスピーカーであるヤマハなんかは、あまり見かけなくてその代わりこの、QSCというメーカーのスピーカーをよく見ました。
そして、実際、現場で聞いて、「いい音だな」と感じていたので、ずっと興味をもっていました。
そもそも、日本人が好む音と外国人が好む(特にアメリカ人)スピーカーから出る音はそもそも違う
ということを前提に考えないとですが、このQSCというスピーカーはそれをよく表していると思います。
実際QSC E15というスピーカーはどういう音?
一言でわかりやすく説明するなら、このQSCというスピーカーから出る音とヤマハやエレボイが出す音は全く別方向の音作りです。
- ヤマハやエレボイは「太い、しっかり」
- QSCは「細くしなやかで硬い」
がわかりやすいかもしれません。
エレクトロボイスやヤマハのスピーカーは音はしっかり出るんですが、細かい音や空気感のような音はしっかり出ない印象です。
ただ、ライブハウスや外現場で使うスピーカーではそういう要素はあまり必要なくて、周りがうるさい環境でもしっかり音を遠くに飛ばすことを目的としているので、理にかなったスピーカー設定と言えます。
QSCのスピーカーはそれとは全く別で、パワー自体はそんなにない印象ですが、音がキラキラしていて、CDなど再生した時に、インナーイヤフォンで再生している時に聞いているようにクリアに聞こえます。
特に、リバーブや空間系、ステレオイメージを綺麗に再現することができている印象があります。
音の迫力を楽しみたいという人より、アーティストがどういう思いでその作品を作ったか1音1音細かく聞いて感じたい人に向いているスピーカーと言えます。
表現ではわかりにくいので、アニメのキャラクターに例えて見ると
エレボイとヤマハのスピーカーは 生駒達人
QSCのスピーカーは 隠岐孝二
葦原大介先生の漫画 ワールドトリガーより
という感じです。わかりますでしょうか?
QSC E15 というスピーカーの欠点
色々E15は素晴らしいスピーカーだと、書いて来ましたが欠点もあります。
僕が個人的にこのスピーカーの欠点だと思うところは、パワー不足感というところです。
用途にもよりますが、すごく周りが大きい雑音が出る現場だったり、超満員で人で溢れかえっているライブハウスなどだと、このE15単体では、力が足りなくて、音がスカスカになってしまうと思います。
もともと、ライブハウス上野Untitledでは、エレクトロボイスのELX 115を使っていました。
このスピーカーは、ものすごくパワーがあって、サブウーファーがなくても、低音がしっかりなり、ライブハウスが満員でも音が足りないと感じることはそんなにありませんでした。
そういう意味では、サブウーファーを使わないスピーカーとしては、ある意味万能のナンバーワンスピーカーだったのかもしれません。
QSC E15をライブハウスに置いたらダメじゃん・・・
と思った方も多いかもしれません。
しかし、それではアメリカで多くの現場で採用されているのと、話があってきません。
そうです、もうお気づきかもしれませんが、このスピーカーはサブウーファーとセットで使うことで初めて、その性能を発揮します。
上野Untitledは、8年間、ELX115のみで、サブウーファーなしでの運用をしてきました。
え?ライブハウスでサブなし運用とかあり?
と思った人もいるかもしれませんが、ELX115はサブウーファーを入れなくても
サブ入ってるの?
と勘違いするぐらいしっかりと低音をだせるパワフルなスピーカーです
- ライブハウスやライブバーなんかを開業したいけど、サブウーファーを入れる余裕が場所や資金の面でない
- イベントの仮設現場だけどいろんな要因からサブウーファーを設置することが不可能
みたいな環境の場合は、ELX115は最適のスピーカーの選択になると思います。
しかし、今回の機材入れ替えでQSC のE15を入れたことで、想定通りではありますが、メインスピーカーのパワーが足りなくなってしまったのでセットで、開業以来初めて、上野Untitledではサブウーファーも導入することになりました。
その際に導入したサブウーファーがこちら。
QSC KS212C
パワードのサブウーファーです。
これが、また最高のサブウーファーで探し求めていた機能を搭載していて、最高の低音を出してくれるサブウーファーでした。詳細は別の記事にまとめますのでそちらをご覧いただければ幸いです。
上記の機材入れ替えにより、長い間、店の営業を支え多くの人にたくさんの音を届けたELX115は、無事引退をして新しいスピーカー QSC E15がやってきました。音に関しては開業以来のいい音、そして上野Untitledらしい綺麗な分厚いサウンドになっています。
QSC E15のスピーカーは日本ではあまり使わない?
ライブハウスでこのスピーカーを設置しているところを、実はあまりみたことがありません。
色々考えると使い勝手が難しいところもあり、やはり簡単な定番スピーカーELX115などが売れるのはよくわかる気がします。
購入前に不安になって
導入例が少ないことに何か理由があるのでは?
と色々調べたのですが、このQSCのスピーカーはライブハウスではなくて映画館などでよく使われていることが日本では多いようです。
なるほどな!
と感じます。映画ですと、このスピーカーの良さをすごくよく再現できると思います。
細かい自然の音や雰囲気、そしてしっかりしたステレオイメージのある臨場感など細かい表現が必要な映画館では、このスピーカーシステムは確かに最適だと感じました。
身近な例でいうと、2019年7月19日に池袋にオープンしたシネマコンプレックス「グランドシネマサンシャイン」では、QSCのサウンドシステムが採用されています。
Ongen Publishing Co., ltd.
結論 QSCは上野Untitledのジャンルにあったスピーカーだった
上野Untitledは上野公園の奥、東京芸術大学に面したところにあるというところまり、少し落ち着いた雰囲気のライブハウスです。
渋谷や下北沢だと爆音・轟音のバンドマンがたくさんいて連日大きな音で溢れかえっているお店も多いかとは思いますが、上野Untitledはあまり、爆音のイベントはありません。
また、バンド以外のブラス系のイベントや歌い手のイベント、劇団系のイベント、アコースティック編成のイベントなども多く、上映会のような企画イベントも多く行われています。
下北沢はでは9割のライブがスタンディングとしても、上野Untitledでは着席80席でもイベント開催ができるキャパシティなどから5割くらいのイベントが着席イベントだったりします。
こういう状況を考えると、映画館でよく使われているQSCのスピーカーは上野Untitledの雰囲気にぴったり!
ということにりますね。なかなかQSCのE15をメインで運用しているライブハウスは少ないと思うので、ぜひ、興味のある方はライブのイベントがある時に遊びにきていただければ幸いです。
ブログ運営:el music entertainment
2013年、派遣アルバイトで貯めたお金で、たった一人でライブハウスを設立。そこから、紆余曲折を経て、様々な音楽やアーティストに関わる事業を展開しています。ライブハウス、音楽スタジオ、レコーディング、アイドル、撮影スタジオ、独立開業、防音工事、楽器や機材、事業に関わる様々なお話。
自主企画のためのライブハウス
東京都台東区にあるライブやイベントが可能な空間
キャパは100名規模 価格は都内最安
初心者向けの撮影スタジオ
白ホリゾント、グリーンバック、和室やソファー
秋葉原の末広町駅から1分
Youtubeや写真撮影に特化した空間