ドラム録音といえば「マイク選び」が話題になりがちですが、実はそこが落とし穴。
どれだけ良いマイクを揃えても、響きすぎる床・反射だらけの壁だと、一気に“素人の音”に!!
あなたがレコーディングで悩んでいる音のにごり、まとわりつく残響、低音の暴れ…。
その8割は「部屋の作り」が原因
この記事では、ライブハウス運営者&エンジニアとして100回以上ドラム録音に関わった視点から、「まず床と壁を見ろ」というプロの現場でずっと言われてきた本質を、わかりやすく解説します。
この記事のポイント
- ドラム録音の音質はマイクより“部屋”
- 床の鳴りがキックやフロアタムの濁りの原因
- フローリング直置きはNG。
- ラグ+床の“浮き”で低音が締まる。
- 壁の反射がスネアの芯を削り、定位を崩す。
- 壁との距離・角度調整だけで音が劇的に
- 反射材質(コンクリ・石膏・木)で音のクセ
- 部屋が“良いマイクほど悪い音を拾う”。
- 部屋が整えばSM57でも十分プロの質感
- 改善の優先順位「床 → 壁 → マイク」の順
- 最小投資でも録り音のクオリティはGOOD

目次
なぜドラム録音はマイクより“部屋”選びからがおすすめなのか
ドラム録音で最初に語られがちなのは
「どのマイクを使うか」
しかし、現場で何度も録音を経験していると気づくのが、
マイクは“音を良くする道具”ではなく、“そのまま拾う道具”でしかない
という事実だ。
どれほど高価で繊細なマイクでも、部屋が悪ければ「悪い音」を正直に記録してしまう。
録音にとって本当に重要なのはマイクの価格や種類よりも、音が発生した瞬間にどう部屋が反応しているかである。

マイクは“拾うもの”でしかない
マイクは魔法の道具ではない。
部屋の空気感・反射・鳴り・共振をそのまま収集する“マイクロフォン=拡大鏡”のようなものだ。
部屋が響きすぎていれば、余計な残響まで拾う。
床が鳴っていれば、キックの濁りも増幅される。
壁が硬いと、スネアの倍音の暴れも容赦なく記録される。
つまり
「悪い部屋」×「良いマイク」
=
悪い音をより鮮明に録るだけ
という残酷な結果に
部屋の反射が多いと、どんなマイクでも濁る
特に問題なのは
壁や天井から跳ね返る“初期反射”。
スネアのアタックは1〜3ms
タムの倍音は5〜10ms
ハイハットのアタックは1ms以下
つまり、その瞬間に生まれた音がすぐに壁で跳ね返り、わずかなタイムラグで再びマイクに入る。
これが重なると、
- スネアの芯が失われる
- ハイハットがシャリシャリ濁る
- タムが丸くぼやける
といった現象が起き、どんなマイクでもクリアに録れなくなる。
これは機材ではなく「部屋の構造そのもの」の問題だ。
低音問題はEQでは消せない
(部屋の構造問題)
キックやフロアタムに多い“もわっ”“ボワッ”という濁り。
これは床の共振・部屋のモード共振が原因で、
EQで削っても根本的には消えない。
低音を削りすぎると楽器の迫力まで失われる。
特に宅録環境では
- 床が薄いフローリング
- 壁が石膏ボード
- 天井が低いワンルーム構造
これらが組み合わさり、低音の逃げ場がなくなることで濁りが増える。
この問題はマイクではなく“部屋を整える”ことでしか解決できない。
プロのスタジオはマイクより“空間設計”に投資している
プロのスタジオは高級マイクを大量に持っているが、もっと多額の投資をしているのは
床・壁・天井の処理
(=アコースティックデザイン)
である。
- 床の多層構造(フローティング)
- 非対称の壁配置
- 吸音と拡散のバランス
- 天井高の確保
- 軽量・重厚の素材使い分け
これらはすべて「楽器本来の音が濁らず録れる空間」を作るための設計だ。

プロが膨大な費用をかけて“部屋”を整えているのは、マイクよりも空間のほうが録音の音質を圧倒的に左右するからにほかならない。
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投資はマイクより床がおすすめ|
ドラム録音で低音の暴れは床から
ドラム録音で最も厄介なのは、低音の濁りだ。
そしてその原因の大半は、マイクでもチューニングでもなく“床”にある。
特にキックとフロアタムは床の構造に直接影響されるため、床が鳴いている部屋では音像が不安定になり、EQではどうにもならない「ボワつき」が発生する。
宅録に多いフローリングの部屋や薄い合板の床では、叩く衝撃がそのまま板を共振させてしまい、低音がどんどん増幅される。
これは“床が楽器化している状態”で、録音にとっては最悪の状況だ。
まずはこの床をどう扱うかで、録れる音が根本から変わる。
フローリングはNG…ではなく“扱い方”が大事
フローリングが悪いのではない。
問題は 「そのまま使うと板が鳴ってしまう」 という点にある。
キックやフロアタムを叩いた瞬間、床板がビリっと振動すると、
- キックのアタックが消える
- 音が前に出ず、奥に引っ込む
- 低音が“もわっ”と回り込む
という状態になり、どれだけ良いマイクでもクリアに録れない。
そして多くの人が勘違いしているのが、
「ラグさえ敷けば解決する」
という思い込み。
薄いラグは高音の散乱には効くが、低音の共振にはほぼ無力だ。
キックの濁りの原因である“床の振動”は、ラグでは止まらない。
理想の床環境とは?
床で最も効果的なのは、“浮き”を作ること。
これはプロのスタジオでも常識で、床を浮かすことで振動が部屋全体に伝わらず、低音が整う。
とはいえ、宅録で大掛かりな工事は難しい。
そこで取り入れやすいのが、
- 厚手のラグ
- その下にクッション材
- わずかな浮き(隙間)をつくる
という簡易構造。
この「浮き」があるだけで、低音の暴れが驚くほど落ち着く。
より本格的に改善するなら、
- 合板(コンパネ)を1〜2枚重ねる
- 下にゴム系の制振材を貼る
- 周囲にゴム脚を置いて“簡易フローティング”を作る
というDIYが低予算では現実だ。
実際にライブハウス上野Untitledでの施工例
浮床構造は、とても費用がかかる工事方法で、さらに大きなスペースを必要とします。
テナントによっては、難しい場合も多数あり。また、都内は特に狭いスペースの有効利用が必要で、浮床を確保するには莫大なコストが発生する場合も。
ライブハウス上野Untitledは、「低予算・低コスト」でユーザーが安い値段でホールレンタルできるがコンセプト。
音質を損なわず、内装費用をできるだけ安くするために様々な工夫をしました。
ステージに浮床構造を施工しなかった
内装コストを下げるために、上野Untitedのステージは浮床になっていません。
それでは、ステージで発生する超低音と振動(ベースとドラム)を対策するために、何をしたのか?
それは
ステージを複数の高密度かつ面積あたりの質量が高い素材でハンバーガー状態ににして、重ね合わせ床を作りました。
具体的には
石膏ボード、遮音シート、合板(集成材などの複数の素材があつまっているもの)これらを、順序を変えて多層化することで重量を稼ぎ、振動を軽減する仕組みをとっています。
遮音シートって床につかうの?
という意見もありますが、防音に正解はありません。その場所での用途に合わせた最適解があるので、遮音シート🟰壁という概念は一旦捨てましょう。
一般的にコンクリートを流し込む
などの施工方法もありますが、振動対策には複数の建材で質量があるものを混ぜることがもっとも、効果的でこの方法だと、コンクリートよりも安い値段で、高い制振効果が得られます。(ただし、浮床構造にはもちろん及びません。)
結果どうなった?
- キックのアタックが急に明確に
- フロアタムの残響が引き締まり
- 部屋全体で“低音の見え方”が安定
という変化が起きた。
マイクも機材も一切変えていないのに、床だけでここまで音が変わるのは象徴的でした
床で音が悪くなる具体例をあげると・・・
床の状態は、録れる音の方向性まで決めてしまう。
キックが前に出る部屋
床が安定していると、キックのアタックがきれいに拾え、ミックスしやすい“前に出る”音になる。
逆に床が鳴っていると、どれだけコンプレッサーを使っても音がまとまらない。
スネアが“ボワ”っと広がる部屋
スネア自体は悪くなくても、床の反射が強いと中低域が濁り、“部屋鳴りスネア”になってしまう。
フロアタムが無限に残響を引っ張る部屋
床が共鳴している部屋は、フロアタムの低音が延々と残り、録音の密度を破壊する。
このタイプはEQでは絶対に抑えられない。
ドラムをマイク録音する前に
確認すべきは壁|反射・位相ズレ
床の次に、ドラム録音のクオリティを左右するのが“壁”。
特にスネアやハイハットのアタック成分は、壁からの反射の影響を大きく受ける。
部屋の反射が多いと、初期反射がそのままマイクに入り込み、録音の明瞭度が一気に落ちる。
どれだけ高級マイクを使っても、壁が悪ければ“スネアの芯がない録音”になってしまうのだ。
反射と位相ズレは、低音とは違い EQ でも補正が難しい。
だからこそ、壁の状態を理解しておくことが最短で音を良くする近道になる。
目の前の壁が近いと、スネアがにごる理由
スネアを叩いた瞬間の音は、まず直接音としてマイクに届く。
しかし、目の前の壁が近いと、その音がわずか3〜5msの遅れで反射して戻ってくる。
この“初期反射”がマイクに混ざることで、たった数ミリ秒のズレでも大きな問題が起きる。
- 直接音と反射音が重なり、アタックが薄まる
- 倍音が干渉してザラつきや濁り
- 音が前に出ず、奥でこもる
つまり、スネア本来の“芯”が消える。
スネアがどうしても抜けない…という悩みの多くは、チューニングでもマイクでもなく、
「スネアの目の前が壁に近すぎる」という単純な構造的問題だったりする。
壁の素材チェック|石膏ボード・コンクリ・木材で音はどう変わる?
壁の材質によって反射の質は大きく変わる。
これは録音のキャラクターにも直結する重要ポイントだ。
コンクリ壁(最も反射が強い)
ハウリングや反射音の1番の原因になる素材。コンクリートを対策していないライブハウスやスタジオは、音響のエンジニアがいないか、知識がないと考えましょう。
- 反射率が極めて高く、アタック・倍音が跳ね返りやすい
- スネアやハイハットが“硬い音”“鋭すぎる音”になりやすい
- 部屋がデッドに聴こえても、実は高域だけ響いているケースも多い
石膏ボード(宅録で最も多い)
コンクリートよりは反響は薄いですが、それでも音を弾きます。吸音材とハンバーガー施工で重ねて壁にしていくのが基本。中は、固まった粘土のような素材で、コンクリートより柔らかく重ねることで低音を吸収する効果もあります。
- 中高域は反射するが、低音は抜けやすい
- スネアの明瞭度は出やすいが、タムがスカスカすることも
- 部屋鳴りが薄く、響きが不自然になる場合も
木材(暖かいが“鳴き”やすい)
大きな音が出ないスタジオ(アコースティックや弦楽器のみ)だと、いい反響になりますが、アンプなどを使い、低音から高音まで幅広く出すには、防音性能がたりません。
複数の建材を混ぜ合わせて、仕上げの反響調節に使うのが木材はベストです。
- 倍音が豊かで、アコースティック楽器には相性が良い
- ただしパネル自体が鳴いてしまうと「ビンッ」という余計な倍音が混ざる
- スネアが“太い音”になるが、暴れやすい側面
最小限の改善方法
大規模な吸音パネルを買う必要はない。
むしろ小さな工夫だけで音は劇的に改善する。
① スネアと壁の距離を変える
スネアが壁に近すぎると初期反射が強くなる。
20〜40cm離すだけで、濁りが消えることが多い。
ドラムセットの向きを180度変えるだけで解決するケースも珍しくない。
② 30cmの角度変更で音が激変する
真正面の壁が最悪の反射ポイント。
セット全体を少し斜めにするだけで、壁からの反射方向が変わり、マイクに入る反射量が激減する。
この「角度修正」はスタジオでも多用する基本テクニック。
③ 100均アイテムでも使える“擬似パネル”術
予算ゼロでも改善できるのが壁の強み。
- 厚めのフェルト
- 吸音スポンジ
- ジョイントマット
- 毛布
- 衣類
これらを壁に掛けるだけで、反射を“急に”抑えられる。
特にスネアの正面に1枚あるだけで、濁りの改善効果は大きい。
手っ取り早く改善したい場合は、
「スネア前だけデッドにする」
これがもっともコスパの良い反射対策だ。
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ライブハウスUntitledなどを運営する
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ドラム録音のマイク選び部屋が整ってからがおすすめ
ドラム録音の相談を受けると、多くの人が最初に聞いてくるのは
「どのマイクを買えばいいですか?」という質問だ。
もちろんマイクは大事だが、録音の順番としては最後でいい。
理由はシンプルで、マイクは“部屋の音そのもの”を拾う装置だから。
部屋が整っていない状態で高いマイクを買うのは、
曇った窓ガラスを高級カメラで撮るようなもの。
まずは床と壁を整えて、部屋の音を“良く録れる状態”にしてから、
ようやくマイクの性能が活きるようになる。
高いマイクがダメではない、ただ順番の問題
誤解してほしくないのは、
高いマイクが悪いわけではなく、使う順番が逆だと損をするということだ。
高級マイクほど解像度が高く、細部を正確に拾う。
ということは裏を返せば、
- 壁の反射
- 床の鳴り
- 部屋の共振
- 初期反射のにごり
- 低音の膨らみ
こういった“悪い部屋の問題”まで鮮明に録音されてしまう。
つまり、
良いマイクほど「悪い部屋の悪さ」まで正確に拾ってしまう
という残酷な構造になっている。
逆に床と壁が整っている部屋では、安価なマイクですら信じられないほど良い音になる。
特にドラム録音で定番の SM57 などは、
“部屋が良いだけでプロ級のスネアに仕上がる” と言われるほど、実力を最大限に発揮できる。
音の良さはマイクではなく部屋が7割。
だから高いマイクを買う前に、部屋を整えることがもっとも効果の大きい投資になる。
初心者がやりがちな失敗例
初心者に最も多いのが、次のようなパターンだ。
- 最初にマイク選びから入る
- ネットで評価の良いセット10万円以上で購入
- 設置して録音してみる
- 「なんか濁ってる」「奥でこもる」「音が硬い」
- マイクが悪いと思って、さらに買い足す
- でも結果は変わらない
このループにハマる人は非常に多い。
実際に多くの宅録相談を受けてきた経験上、
部屋を整えずにマイクだけにお金をかけた録音は、1万円の安物機材よりも悪い結果になるケースが多い。
「10万円のマイクを買ったのに、5,000円のUSBマイクより音が悪い」
そんな逆転が普通に起きるのが“部屋の怖さ”だ。
録音の本質は機材ではなく空間。
部屋が整っていれば、マイクは最後に選んでも十分遅くない。
まとめ|マイクより床と壁。これがドラム録音のおすすめ最短ルート
ドラム録音のクオリティを上げる方法は、実はとてもシンプルだ。
結論を言えば、録音の9割は“部屋”で決まる。
キックの迫力や輪郭は、ほぼそのまま“床の状態”を反映する。
床が鳴けばキックは奥に引っ込み、どれだけEQをしても前に出てこない。
逆に床が安定していれば、SM57でも驚くほど立体的なキックが録れる。
スネアやハイハットの明瞭度も同じで、壁の反射が強い部屋ではアタックが薄まり、芯のあるスネアに仕上がらない。
初期反射や位相ズレは、マイクやプラグインでは最後まで取りきれない“致命的なノイズ”になる。
だからこそ
マイクより先に“部屋の調整”に手を入れることが、録音における最強のコスパ改善策だ。
たった数千円の工夫で劇的に音が変わることも珍しくないし、
床と壁が整った部屋では、安価なマイクでも驚くほど良い音になる。
→ マイク選びで迷ったら、まず床と壁を見直す。
良い録音は、いつだって“良い部屋”から生まれる。
あなたのドラム録音が、今日から一段レベルアップするはずだ。
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