最近では自宅で楽器演奏や動画収録、テレワークなど「音」の悩みを抱える人が増えており、自力で防音工事を試みる人も増えています。
しかし、「DIYでどこまで効果があるのか?」「プロに頼むべきか?」といった疑問も多く寄せられます。
本記事では、防音工事をDIYで行う際の基本知識から具体的な施工例、注意点までを経験者の立場から詳しく解説します。
概要
- 防音と遮音・吸音・制振の違いとは?
- DIYでできる防音工事の範囲と限界
- 使用する素材と道具の選び方
- 施工例(壁・窓・床・天井別)
- DIY防音での失敗例と対策
- プロに依頼すべきケースとは?
目次
防音の基礎知識:DIYの前に知っておくべきこと

防音・遮音・吸音・制振の違いとは?
防音という言葉は広く使われますが、実際には「遮音」「吸音」「制振」という異なる技術の組み合わせです。
それぞれの役割を理解しないと、DIYでも効果が出ないことがあります。
- 遮音(しゃおん):音を「遮る」対策。遮音シートや石膏ボードなどで、音が壁や窓を通り抜けるのを防ぐ。
- 吸音(きゅうおん):音を「吸収」することで、反響や残響を減らす対策。ウレタンスポンジやフェルト素材のパネルが多く使われる。
- 制振(せいしん):振動を「制御」する技術。重低音や衝撃音の伝播を抑える効果があり、防振ゴムやダンピング材などを使用。
- 防音(ぼうおん):上記すべてを組み合わせ、外から音を入れず、内から音を漏らさない総合的な対策。
防音対策を行う際には、この3つを“目的に応じて組み合わせる”ことが重要
音の種類:空気伝播音と固体伝播音
防音効果を最大限にするためには、音の「性質」も理解する必要があります。
- 空気伝播音:人の声、テレビ音、犬の鳴き声など、空気を介して伝わる音。遮音と吸音で対処可能。
- 固体伝播音:床の衝撃音、洗濯機の振動、ベースアンプ、サブウーファー、バスドラムなど、物体の振動を通じて伝わる音。制振と防振が重要。
DIYでは空気伝播音への対策が比較的容易ですが、固体伝播音は難易度が高く、誤った施工では効果が出ないどころか振動が共振して悪化することもあります。
専門家の見解と参考文献
「防音は“音の経路と性質”を見極めなければ効果が出ない。遮音材と吸音材を同じと思っている人は多いが、用途も性能も全く異なる」
(建築音響士・日本音響学会正会員 談)
日本音響学会(The Acoustical Society of Japan)は、建築音響の専門家による研究成果を多数公開しており、正しい防音知識の普及に貢献しています。
また、環境省や建築技術研究所なども「騒音・振動対策マニュアル」を公開しており、信頼性の高い情報源として活用できます。DIYとはいえ、信頼できる知識をもとに取り組むことが結果的にコストパフォーマンスを高めるのです。
自宅でできる主な施工部位
自分で防音できる場所には限りがありますが、以下の4か所は比較的対処しやすいポイントです。
- 壁:遮音シート+石膏ボードや吸音パネルの設置で対策。
- 窓:防音カーテン、インナーサッシ(二重窓)などの導入が効果的。
- 床:ラグマット、防振材、防音カーペットを使って衝撃音の伝達を抑える。
- 天井:石膏ボードの増設や天井裏への吸音材充填が可能。ただしDIYの中では難易度が高い。
扱いやすい防音材(初心者向け)
DIYに向いている防音・吸音・制振アイテムの一例を紹介します。

すべてホームセンターや通販で手に入り、施工道具も最小限で済むのが魅力です。
DIY施工難易度マトリクス
以下に、施工部位別の難易度と効果の目安を整理します。

初心者には「窓」と「壁の吸音」から始めるのが失敗が少なく、おすすめです。
実例紹介:
筆者が行ったDIY防音工事(経験ベース)
実際に私が行った防音工事のDIY事例を、施工部位別に紹介します。自宅の作業部屋を中心に、コストと効果のバランスを重視しながら工夫を凝らしました。
【壁】スタジオパネル+遮音シート
最も効果を感じやすいのが壁の施工。具体的には以下の手順です。
- 壁に遮音シート(厚さ2mm)を両面テープで固定
- その上からスタジオ用の吸音パネルを配置
- 端部を気密テープで処理して“音のスキマ”を防止
結果、簡単な測定では隣室との会話音が約6〜8dB低下の効果があります。遮音シート単体より、吸音パネルとの組み合わせで反響音が軽減されました。

遮音シート施工のコツ
両面テープにはお金をかけろ!
強力な張り付き力のあるものを使用すること。遮音シートは重たいので、壁から剥がれやすい。

ゴリラの両面テープはかなり強力で、重たいものを壁などに固定する際にとても有効です。ダイソーなどの安い両面テープでは、時間と共に固定が弱くなってきたり、梅雨などの湿度が高い時期に一気に剥がれ落ちる可能性があるので、注意しましょう。

壁紙などがあり、両面テープを施行できない場合は、ベニヤ板や薄い板を背面に挟むことで解決。板は本棚やチェストなどの家具を挟むことにより、ネジや釘を使わずに固定できる。ベニヤ板になら、強力な両面テープなどを使って固定することができる。
吸音材でおしゃれで施工しやすいおすすめがHERTBER
ワンランク上の施工だと、石膏ボードをホームセンターで買ってきて利用する方法もありますが、石膏ボードは大きく、普通の賃貸マンションなどでは搬入と施行が難しいケースもあるので、ケースバイケースですね。
防音ファストラボでもたくさん施工しやすいDIYグッズが手に入ります
【窓】防音カーテンと内窓DIYのビフォーアフター
外からの騒音(車やバイクの走行音)対策として、まずは市販の防音カーテン(3重構造)を設置。加えて、内窓をポリカーボネート板と木枠で自作しました。この組み合わせは、簡単にできる窓からの騒音対策です。特に、窓枠の防音はハードルが高そうですが、意外と簡単にAmazonなどで、組み立てキットを買うことが可能です。
- カーテンだけで約3〜4dBの減衰
- 内窓追加後、最大10dBの減衰効果
耳障りな騒音が「響く」ではなく「届かない」と感じるレベルに近づき、イライラする、ノイジーだ!という集中力を削ぐ感覚を大きく軽減することができて、寝室の静寂性が大幅に改善しました。

カーテンを防音性能の高い、厚みのあるものにすることで、断熱性もあがることで、エアコンや暖房の効率もあがり、長い目でみると電気代金にも恩恵があります。特に冬場に関しては、暖房効率が大幅によくなり、驚くと思います。

Amazonでは、簡単に自宅でDIY感覚で二重窓(内窓)を制作するキットが販売されています。値段に対しての、防音パフォーマンスが高いので、ぜひ検討してみてください。

【床】ラグ+防振マットの効果比較
下階への足音や椅子の引き音を緩和するため、次のような順で施工:
- フローリングの上に防振マットを敷設
- その上に厚手のラグ(ウール製)を重ねる
防振マット単体では振動には効果ありましたが、吸音性は期待できないので、ラグを追加したことで生活音の「反響する振動音」と響く感じが減少させることができます。階下への防音に加えて、自室の居住空間を静かにするメリットも!
防音は合わせて施工を行うことで、期待値以上の効果を発揮するケースも。
階下への防音対策として有効な方法が防振マットとラグの組み合わせ。

子供やペットなどが走り回り、階下への振動騒音の配慮が必要な場合に、自宅でDIYでできる簡易的な対策として有効なのが、防振マット。正方形のもので、簡単にハサミなどで加工ができるので、部屋のサイズにぴったりに合わせて施工することが可能です。
ゴムの重さと厚みがあればその分効果が期待できます。ゴムの制振マットはインテリアに合わないので、ラグなどを上から被せることで、綺麗に内装にマッチします。

防音のラグでも、インテリアにあうようにデザインされたおしゃれなものも大いので、防音対策をしているように外見は見えなくても、しっかりDIYだけでも簡単に対策可能。
また、音の反響を抑えることができるので、テレビなどを大きな音で見た際に、音に締まりがでて、家庭用のオーディオのスピーカークオリティがワンランク上がったような音質になります。
DIY防音の落とし穴と注意点

よくある失敗:空気音だけ対策して振動が無視されている
「吸音パネル・遮音シートを貼ったから防音は完璧」
と思っていた時期がありました。
しかし、低音や振動音(ドアの開閉、椅子の衝撃音など)は床や壁を通って伝わるため、遮音や吸音だけでは意味がありません。
とくにベース音やドラム音などは、壁をすり抜けるのではなく“揺れ”として伝わるため、制振材や防振ゴムが不可欠です。
振動騒音は一番難しい防音対策
DIYレベルでできることは限られていますが、それほど大きな音量の出ない家庭用規模の制振対策でよければ、振動源になるスピーカーにインシュレーターを設置するなどで、対応することが可能です。

インシュレーターで特にお勧めなのが、先端が尖った上記のようなもの。これとラバーマットをスピーカーの下に設置することでかなりの振動騒音を改善することができますし、スピーカーの音も驚くほど高音質になります。
賃貸物件DIY防音での注意点まとめ
(原状回復可能な施工)
賃貸物件ではネジ打ち・ボンド固定がNGなことも多いため、以下のような手法が有効です。
- 両面テープ +粘着フックで吸音パネルを設置
- 吸音ボードを有孔ボードなどで壁に立てかけ施工する
- ポータブル式の内窓フレーム(取り外し可能)を使用
これにより退去時もトラブルなく対応可能。DIY初心者にもおすすめです。
プロに頼むべきケースとは?
(信頼性のための比較軸)
DIYでもある程度の防音効果は得られますが、効果の限界や安全面、構造的制約を考えると、専門業者に依頼すべきケースも存在します。
ここでは、プロに依頼するべき典型的なシチュエーションを詳しく解説します。
なぜ専門業者が必要??
理由としては
- 工具が必要
- 複数人での施工
- 重量物の搬入
- 石膏ボードや金属加工
などが、発生する場合、どうしても工具や道具がなければ、自力のDIYでは難しくなってきます。重たい・高密度のものを施工するようになると、それ相応の工具が必要になり、DIYの強度の工具では難しくなってきます。
低周波や重低音に悩むケース(例:ベース音、ドラムなど)
特に難しいのが、50Hz〜200Hz前後の「重低音(低周波)」の対策です。
以下のような音源が該当します:
- ベースギターやドラムのキック音
- ピアノの左手(低音パート)
- ホームシアターのウーファー
- 洗濯機や空調の振動音
- 隣室や上階からの足音など生活振動音
これらの音は空気よりも建物の構造(壁・床・柱)を伝って伝播する「固体伝播音」が大半を占めており、吸音パネルや遮音シートだけでは100%防げません。
よくある初心者のDIY防音の間違いで、床に遮音シートを貼ったりする人がいますが、用途が違うので効果がありませんので気をつけてください!
ポイント
10年以上、防音工事と音に携わってきましたが、結論から言って、この種類の音を防音することは、専門的な工事と技術無しには不可能です。DIYで対策を行なっても、無駄に資金を浪費するだけとなるので、お勧めしません。
🔧 プロの技術が必要な理由
- 複数の防音特化建材複合構造材による「多層構造」で減衰
- 浮き構造で床や壁を躯体から分離
- 質量×密度×気密性の「三位一体設計」
このような設計には、建築的知見や音響工学の基礎が必要不可欠です。
防音とともに「音響設計」も必要
音を「漏らさない」だけでなく、「良く聴こえるように整える」ことも重要なケースでは、単なる防音ではなく音響設計の知識が求められます。
たとえば:
- レコーディングスタジオ
- ミックスルーム
- ライブ配信やASMR録音に使う部屋
- オーディオルームや試聴室
防音材を詰め込みすぎる(特に吸音材)と、音が“デッド”になりすぎて自然さを失うため、プロは次のようなバランス設計を行います:
- 音の跳ね返りをコントロール
- フラッターエコーや定在波の回避
- 部屋の形状やサイズから響きの特性を逆算して配置
素人には難しい「音のシミュレーション」や「周波数特性の調整」も、プロなら数値と経験で判断してくれます。
「防音専門」とうたう業者でも、音響知識に乏しいケースもあるため要注意です。
できれば「音響会社×建築施工」の両方を経験しているような業者を選びましょう。
まとめ|DIYでも防音工事はできる!
「音の正体」を理解しよう
✅ 本記事の要点(振り返り)
- 防音は「遮音・吸音・制振」の組み合わせが基本
→ それぞれ役割が異なるため、目的に応じた使い分けが重要 - 音の種類は2つ:空気伝播音と固体伝播音
→ 空気音には遮音・吸音、振動音には制振材・防振が効果的 - DIYでできる施工部位は限られるが、効果は実感できる
→ 窓まわり、壁の吸音パネルなどは初心者でも取組みやすい - 使いやすい防音素材には特性がある
→ 防音カーテン、吸音パネル、遮音シート、防振ゴムなどを適所に - 施工難易度や効果は場所によって異なる
→ 天井や壁の遮音は難易度高。窓やラグは気軽に始めやすい - 実際のDIY経験ではdB単位での効果が確認できた
→ スマホアプリでも簡易的な効果測定は可能 - 失敗しやすいポイント:空気音だけ対策して振動を無視
→ 固体伝播音(低周波)はプロの技術が必要な場合もある - 賃貸物件では原状回復を考えた施工方法を
→ ベニヤ板+家具固定など工夫次第で対応可能 - 安価すぎる素材は安全性や耐久性にリスクも
→ 建材認証や防炎性能のある製品を選ぶのが安心 - プロに頼むべきケースも存在する
→ 低音、音響設計、構造対策などは専門知識が不可欠
🛠 結論:DIYでもできる。でも「音の正体」を理解しよう
防音は“貼ればOK”の単純な作業ではなく、「どんな音を、どの経路で、どう遮るか?」を考える科学的な工程です。
DIYは確かにコストを抑えつつ、一定の成果を得る手段ですが、音の種類や発生源によってはプロの手を借りるほうが結果的に効率的で安全なことも多くあります。
「知識あるDIY」+「必要に応じてプロの活用」
このバランスをうまく取ることが、快適な防音生活の鍵となります。
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el music entertainment
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