ライブハウスでの演奏では、音質がすべて。
「ジー」「ブーン」といったノイズが入ると、せっかくのライブが台無しですよね。その大きな原因の一つが「シールド(ケーブル)」です。

このブログでは、ライブハウスでのノイズ対策に欠かせないシールドの基本から、ノイズの原因、対策方法、楽器ごとの選び方まで、プロの視点で詳しく解説します。
2025年3月時点の最新情報をもとに、ライブパフォーマンスを最高にする秘訣をお届けします。
シールドとは?基本を押さえよう
シールドとは、ギターやベース、マイクなどの楽器とアンプやミキサーをつなぐケーブルです。
正式には「シールドケーブル」と呼ばれ、内部の信号線を外部ノイズから守る「シールド(遮蔽)」が特徴。普通のオーディオケーブルとは違い、楽器の微弱な電気信号を正確に伝える設計になっています。
しかし、シールドの質が悪いとノイズが混ざりやすく、特にライブハウスではその影響が顕著です。
ここで、シールドと密接に関わる「アースとグラウンド」について先に知っておくと、ノイズ対策がぐっと理解しやすくなります。

【コラム】シールドのアースとグラウンドをわかりやすく解説
ライブハウスで「ブーン」という低周波ノイズに悩まされたことはありませんか?
その原因の一つが「グラウンドループ」です。
グラウンドループとは
機材同士の「電気の基準点(グラウンド)」がズレて、電気が変なループを作ってしまう現象。例えば、ギターからエフェクター、アンプとつなぐとき、それぞれが別のコンセントから電源を取ると、微妙な電位差が生じてノイズが発生します。
この基本を知ることで、シールドのノイズ対策が身近に感じられるはずです。
- アース(接地)とは?
アースは電気を「大地」に逃がす仕組み。感電防止のために家電に使われるイメージがありますよね。ライブハウスでは、機材の安全とノイズ軽減のために重要で、シールドケーブル内の「アース線」が外部ノイズをブロックします。 - グラウンドとは?
グラウンドは「電気のスタートライン」。綱引きで全員が同じ基準線から引っ張らないと力がバラバラになるように、機材もグラウンドが揃わないと電気が乱れてノイズに。例えば、ギターとアンプの電源が別だと、このラインがズレて「ブーン」と鳴ることがあります。 - シールドケーブルとの関係
シールドケーブルには信号を運ぶ「ホット線」とノイズを防ぐ「シールド線(アース線)」が入っています。アースが弱いとノイズを防げず、逆に多すぎるとグラウンドループに。バランスが鍵です。 - 解決策
グラウンドループ対策にはDIボックスが効果的。信号をバランス化し、「グラウンドリフト」でアースを調整できます。ライブハウスでノイズが出たら、まずこれを疑ってみましょう。
シールドにノイズが乗る原因5つ

Di Box DPDB [domestic regular import goods
ライブハウスでシールドにノイズが乗る原因を以下にまとめました。
- 電磁干渉(EMI)
照明や電源ケーブル、スマホの電波など、ライブハウスは電磁波だらけ。これがシールドに侵入すると「ジジジ」といったノイズに。 - グラウンドループ
機材間のアースが揃わないと電位差が生じ、「ブーン」という低周波ノイズが発生。 - ケーブルの劣化や接触不良
長年使ったシールドは断線やプラグの緩みでノイズの原因に。踏んだり巻いたりのダメージが蓄積します。 - シールド性能の低さ
安いケーブルはシールド層が薄く、外部ノイズを防ぎきれません。 - 長すぎるケーブル
必要以上に長いと信号が減衰し、ノイズを拾うアンテナになってしまいます。
ライブハウスでノイズを防ぐ5の対策

ノイズを減らす具体的な方法をチェックしましょう。
- 高品質なシールドを選ぶ
銅編みや二重シールドなど、シールド層がしっかりしたケーブルが基本。 - ケーブル長を最適化
ステージに合わせて必要最低限の長さに。10m必要なのに15mはNG。 - グラウンドループ対策
DIボックスやグラウンドリフト付き機材で電位差を解消。 - ケーブルを束ねない
電源ケーブルと一緒に巻くとノイズが誘導されるので、別々に配線。 - 定期メンテナンス
プラグを拭いたり断線チェックをしたりで劣化を防ぎます。
楽器ごとシールド選びとノイズ対策
楽器ごとに最適なシールドと対策を紹介します。
- エレキギター
- 特徴:ハイインピーダンスでノイズに弱く、長いケーブルで高音が落ちやすい。
- 対策:3〜6mの長さで高シールド性能を。エフェクターが多いならバッファーも。
- おすすめ:モガミ、カナレのダブルシールド。
- ベース
- 特徴:低音が強く信号ロスが目立つ。
- 対策:太めのケーブルで3〜5mをキープ。DIボックスでバランス化。
- おすすめ:Livewire、Planet WavesのOFCケーブル。
- キーボード
- 特徴:ステレオ出力が多く、ライン信号でノイズ耐性が高い。
- 対策:1〜3mのTRSケーブルかTSケーブル2本。電源ケーブルと離す。
- おすすめ:Hosa、Rolandのステレオ対応。
- マイク(管楽器含む)
- 特徴:XLRでバランス伝送、ノイズに強いがファンタム電源に注意。
- 対策:5〜10m以内のXLRケーブルで、ミキサーのグラウンド設定を確認。
- おすすめ:Neutrik付きCanare XLRケーブル。
ケーブルの太さ種類とノイズの関係

- 太さ
太いケーブルは信号減衰が少なく低音が安定。ただし取り回しが難しく、細いとノイズを拾いやすいのでバランスが大事。 - 種類(シールド構造)
- シングルシールド:1層のシールド(銅編み網など)で覆われた構造。安価で軽いがノイズに弱い。1000円以下のギターケーブルや、エフェクターをつなぐ30cmのパッチケーブルに多い。自宅練習やエフェクターボード内の短距離配線で使われます。管楽器用マイクの細いシールド(例:Shure Beta 98H/Cの付属ケーブル)は、短距離用ならシングルシールドの可能性も。ただし、プロ仕様ではフォイルシールドやバランス伝送対応が多いです。
- ダブルシールド:ノイズ耐性が強くライブ向き。
- フォイル+編み込み:最高の遮蔽性能で安心。
- 素材
無酸素銅(OFC)は伝導率が高く音質安定。安いケーブルは銅純度が低くノイズが増えることも。
インピーダンスとノイズの関係性をわかりやすく解説
インピーダンスは「電気の流れにくさ」で、ノイズに直結します。
- ハイインピーダンス
ギターやベースは弱い信号でノイズに敏感。長いケーブルだと「シャリシャリ」ノイズや高音ロスが。短いケーブルかバッファーで対策を。 - ローインピーダンス
マイクやキーボードはノイズに強く、長いケーブルもOK。ライブでの安定感抜群。 - ポイント
ハイは「繊細な子」、ローは「タフな子」。ケーブルと接続を工夫してノイズを減らしましょう。
まとめ:ライブハウスでクリアな音を

ライブハウスでのノイズ対策は、シールド選びと使い方が鍵。アースとグラウンドを理解し、楽器ごとの特性に合ったケーブルを選び、インピーダンスを意識すれば、クリアなサウンドで最高の演奏ができます。次回のライブでぜひ試してみてください!
このブログについて
このブログは、上野にあるライブハウス「untitled」やその提携音響会社、そしてスタジオ設営・イベント設営に携わるプロフェッショナル集団が執筆・運営しています。
ライブハウスだけでなく、トークライブ、オフ会、ライブパーティー、サークル活動、整体、ヨガ、ワークショップなど、さまざまなシーンで利用されるイベントスペース「上野 untitled」
「上野 untitled」の詳細はこちらからご覧ください:上野 untitled 公式サイト(リンクは仮置きです)。